HER2陽性食道がんへのトラスツズマブ追加は利益なし
Trastuzumab with trimodality treatment for oesophageal adenocarcinoma with HER2 overexpression (NRG Oncology/RTOG 1010): a multicentre, randomised, phase 3 trial
背景
抗HER2モノクローナル抗体トラスツズマブは、HER2陽性の悪性腫瘍に対して有効性を示しているが、食道がんに対してはどうか。アメリカRhode Island HospitalのSafranらは、新規診断食道腺がん患者における集学的治療(パクリタキセル・カルボプラチン化学療法、放射線治療、その後手術)に加えて、トラスツズマブの有無をランダムに割り付ける第3相多施設ランダム化比較試験NRG Oncology/RTOG-1010を実施した(n=203)。
結論
無病生存期間の中央値は、トラスツズマブ追加群で19.6ヵ月、対照群14.2ヵ月であり、有意な差はなかった(ハザード比0.99)。グレード3および4の治療関連有害事象は、トラスツズマブ群の43%、21%、対照群では54%、22%で発生した。治療関連の重篤有害事象率はトラスツズマブ群36%、対照群28%であり、治療関連死亡はそれぞれ5%、3%であった。
評価
HER2過剰発現食道腺がんに対するトラスツズマブの追加は無益であった。食道腺がんでのHER2標的治療は、別の薬剤や免疫療法等との組み合わせで検証されていくことになる。