低リスク甲状腺がんの放射性ヨウ素内用療法は不要か:ESTIMABL2試験
Thyroidectomy without Radioiodine in Patients with Low-Risk Thyroid Cancer

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
March 2022
386
開始ページ
923

背景

甲状腺分化がん患者では甲状腺切除後に放射性ヨウ素内用療法を行うことが一般的だが、低リスク患者でのベネフィットについては議論がある。フランスGustave Roussy and Universite Paris-SaclayのLeboulleuxらは、甲状腺切除後の低リスク甲状腺分化がん患者を、放射性ヨウ素によるアブレーションを行う群と行わない群に割り付ける第3相ランダム化比較試験ESTIMABL2を実施した(n=730)。

結論

複合エンドポイント(機能的・構造的・生物学的異常)についての3年無イベント率は、放射性ヨウ素群で95.6%、対照群で95.9%であり、この差は設定された非劣性マージン内であった。治療関連の有害事象は報告されなかった。

評価

低リスク甲状腺分化がんにおける放射線ヨウ素療法の有効性問題にRCTエビデンスをもたらした。この患者集団では、放射線ヨウ素を用いない経過観察でもイベントのリスクは低いとみられる。

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取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)