がん薬物治療による有害事象は女性の方が多い
Sex Differences in Risk of Severe Adverse Events in Patients Receiving Immunotherapy, Targeted Therapy, or Chemotherapy in Cancer Clinical Trials
背景
抗がん剤治療による有害事象(Aes)の頻度は女性の方が高いとする報告があるが、免疫療法、標的治療も含めた薬物治療パラダイムの全体をカバーしたデータはない。アメリカFred Hutchinson Cancer Research CenterのUngerらは、1980〜2019年にSWOG Cancer Research Networkで実施された性差のないがんの第2相・第3相臨床治験のデータを性別により解析し、免疫療法・標的治療・化学療法における治療関連AEsの性差を検証した。
結論
23,296名の患者を含む202件の試験、274,688件のAEsが解析対象となった。患者の64.6%が重度(グレード3以上)のAEsを経験した。女性は重度AEsのリスクが男性より高かった(オッズ比1.34)。免疫療法を受けた患者では特にリスクが高かった(1.49)。重度の症候性AEsのリスクも女性で高く、特に免疫療法でリスクが増加した(1.66)。化学療法・免疫療法を受けた女性では、重度の血液学的AEsが増加し、非血液学的AEsのリスクには有意な性差を認めなかった。
評価
免疫療法を中心として、女性患者でのAEsリスクが幅広く観測された。この性差のメカニズムを知ることは、がん治療のさらなる精密化に不可欠である。


