進行肝がんでの肝動注化学療法、ソラフェニブを上回る:FOHAIC-1試験
Arterial Chemotherapy of Oxaliplatin Plus Fluorouracil Versus Sorafenib in Advanced Hepatocellular Carcinoma: A Biomolecular Exploratory, Randomized, Phase III Trial (FOHAIC-1)
背景
カテーテルを留置し、局所・持続的に抗がん剤投与を行う肝動注化学療法(HAIC)は、肝細胞がんに対する薬物療法オプションであるが、RCTエビデンスは欠けている。中国Sun Yat-sen University Cancer CenterのLyuらは、全身治療歴のない進行肝細胞がん患者を、フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチンを用いたHAIC(HAIC-FO)またはソラフェニブ投与へランダムに割り付ける第3相試験FOHAIC-1を実施した(n=262)。
結論
全生存期間中央値は、HAIC-FO群で13.9ヵ月、ソラフェニブ群で8.2ヵ月であった(ハザード比0.408)。腫瘍ダウンステージはHAIC-FO群の16名(12.3%)で認められ、うち15名が治癒的切除・アブレーション治療を受け、生存期間中央値20.8ヵ月、1年生存率93.8%を達成した。高リスク症例でもHAIC-FO群での有意な全生存期間延長が認められた(10.8ヵ月 vs. 5.7ヵ月; ハザード比0.343)。また、ゲノム解析による有効性予測モデルは、HAIC-FOが奏効する患者の83%を特定した。
評価
HAICの有効性問題に第3相RCTで答えを与えた。新たな標準治療となりうるが、進行肝細胞がんではアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法がソラフェニブを上回ることが示されており、これとの優劣が問題となる。