心停止後昏睡患者での律動性・周期性脳波パターンに抗てんかん治療は無益か:TELSTAR試験
Treating Rhythmic and Periodic EEG Patterns in Comatose Survivors of Cardiac Arrest

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
February 2022
386
開始ページ
724

背景

心停止後昏睡患者の一部では電気生理学的発作を示唆する律動性・周期性の脳波パターンがみられ、予後不良の所見と考えられているが、抗てんかん薬による治療が予後を改善するかは不明である。オランダTechnical Medical CenterのRuijterらは、心停止後昏睡患者を対象に、標準治療に加えて持続的脳波モニタリングで検出された律動性・周期性の脳波パターンを、連続48時間以上抑制する抗てんかん治療群または標準治療のみ群へのランダム割り付けを行い、3ヵ月後の神経学的予後を比較した(n=172)。

結論

律動性・周期性の脳波パターンは心停止から中央値35時間で検出され、157名中98名(62%)ではミオクローヌスが認められた。律動性・周期性パターンの抑制は、抗てんかん治療群の56%、対照群の2%で達成された。3ヵ月時点での神経学的不良転帰(CPCスコア3-5)率は、抗てんかん治療群90%、対照群92%であり、死亡率はそれぞれ80%、82%であった。

評価

律動性・周期性の脳波パターンが治療の対象となりうるのかは重要な問題である。この試験では抗てんかん治療の効果は認められなかったが、試験規模は小さく結論的とは言えない。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)