PD-L1低発現の胃・食道がんに免疫チェックポイント阻害薬は効果なし
Low Programmed Death-Ligand 1-Expressing Subgroup Outcomes of First-Line Immune Checkpoint Inhibitors in Gastric or Esophageal Adenocarcinoma
背景
免疫チェックポイント阻害薬（ICI）は、胃がん・食道がんに対しても有効性が示しているが、PD-L1発現量の少ない腫瘍に対する有効性は不明な点が残る。シンガポールNational University of SingaporeのZhaoらは、胃がん・食道がんの初回治療において従来の化学療法とそれへのICI追加を比較した3件の第3相ランダム化比較試験で報告されたKaplan-Meierプロットから、PD-L1 CPSサブグループごとのデータを再構成した。
結論
CheckMate-649試験、KEYNOTE-062試験、KEYNOTE-590試験が含まれた。CheckMate-649試験からはPD-L1 CPSが1-4のサブグループ、KEYNOTE-062試験からは1-9のサブグループ、2つの未報告サブグループが同定された。この二つのサブグループでは、ICI追加による全生存・無増悪生存の有意差は認められなかった。また、KEYNOTE-062試験のサブグループでは、ペムブロリズマブ治療により腫瘍進行のリスクが高まった（ハザード比2.092）。
評価
CheckMate 649試験、KEYNOTE-590試験はポジティブ、KEYNOTE-062試験はネガティブ結果となったが、本研究ではPD-L1 CPS発現が免疫チェックポイント阻害の有効性を左右している可能性を示唆した。この問題にフォーカスした大規模試験が望まれる。
