家族性DCMの人種差を確認
Prevalence and Cumulative Risk of Familial Idiopathic Dilated Cardiomyopathy
背景
米における特発性拡張型心筋症(DCM)には人種差のあることが指摘されている。Ohio State UniversitのHershbergerら(DCM Consortium)は、家族性DCM発端患者1,220名(年齢中央値52.8歳、女性43.8%、黒人43.1%、ヒスパニック8.3%)と、その一親等血縁者1,693名をスクリーニングし、家族ベース横断研究を行った。一次アウトカムは、家族性(少なくとも1人の第一度近親者に共在)DCMである。
結論
発端者の家族性DCMの粗有病率は11.6%、一次アウトカム有病率は全体で29.7%であった。これは白人より黒人の方が高い(差11.3%)一方、ヒスパニック系と非ヒスパニック系の間に有意差はなかった。拡大家族性DCMの有病率は56.9%であった。一親等血縁者の推定累積リスクは、80歳までにDCMが19%、部分表現型を含む拡大DCMで33%に達した。DCMハザードは、非ヒスパニック系白人発端者より非ヒスパニック系黒人発端者の一等親血縁者が89%高かった。
評価
DCMにおける黒人の問題は米国に限らず、世界的なものとみられ(https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0735109721078931)、遺伝子基盤から社会経済ステータスまで多様な要素が関連しているとみられる。この論文は米の多施設DCM Consortium最初の発表であり、より詳細な遺伝子解析が進行中である。