コロナパンデミックががんの手術に与えた影響:世界61ヵ国調査
Effect of COVID-19 pandemic lockdowns on planned cancer surgery for 15 tumour types in 61 countries: an international, prospective, cohort study
背景
COVID-19パンデミックは世界の医療システムに大きな影響をもたらし、最初の流行時には世界で2100万件の待機手術がキャンセルされたとされる。COVIDSurg Collaborativeは、世界61ヵ国466施設の患者20,006名を登録する国際前向コホート研究を実施し、COVID-19パンデミックにおける軽度の行動制限(Oxford COVID-19 Stringency Indexが20未満)〜ロックダウン(60以上)ががんの待機手術に与える影響を評価した。
結論
10.0%に相当する2,003名の患者が、フォローアップ期間(中央値23週)中に手術を受けることがなかった。いずれもCOVID-19に関連する理由であった。軽度の行動制限期間における手術中止率は0.6%、中程度の行動制限期間では5.5%(ハザード比0.81)、完全なロックダウン期間では15.0%にのぼった(0.51)。SARS-CoV-2症例届について調整した感度分析でも、中等度の行動制限、ロックダウンは手術中止と独立に関連した。診断から12週以降の手術率はそれぞれ9.1%、10.4%、23.8%であったが、手術の遅れと切除率に関連は見出されなかった。
評価
がんの待機手術は固形がん治療の根幹としてパンデミック期間にあっても優先的に行われたと考えられるが、ロックダウン期間には大きな遅れが生じた。この脆弱性は将来の公衆衛生政策における重要な課題となる。


