細胞ベース治療はARDSの未来となれるか:MUST-ARDS試験
Safety and efficacy of multipotent adult progenitor cells in acute respiratory distress syndrome (MUST-ARDS): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled phase 1/2 trial
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する薬物療法で有効性を示してるのは、コルチコステロイド等僅かにとどまっている。イギリスUniversity College LondonのBellinganらは、米英12施設の中等症・重症ARDS患者を対象に、骨髄由来の多能性成人前駆細胞(MAPC)静脈内投与の安全性・忍容性を評価する第1/2相試験MUST-ARDSを実施した。
結論
コホート1・2ではそれぞれ3億・9億個の細胞が投与され、急性期の安全性が確認された。コホート3ではARDS診断96時間以内の患者に9億個の細胞またはそのプラセボが2:1で割り付けられた。28日死亡率は細胞療法群で25%、プラセボ群で45%であった。28日目までの非ICU日数(12.5日 vs. 4.5日)、人工呼吸器不要日数(18.5日 vs. 6.5日)は細胞療法群で長かった。
評価
間葉系幹細胞は免疫調節・抗炎症作用を促進し、呼吸器疾患における肺機能の改善・再生に寄与することが期待されている(https://doi.org/10.1038/s41536-021-00181-9)。骨髄由来のMAPCを投与した本研究の結果も有望であり、次ステージでの検証が正当化される。


