高齢の乳がんでも遺伝性乳がん検査の意義はあるか
Risk of Late-Onset Breast Cancer in Genetically Predisposed Women
背景
若年での乳がんに比べ高齢乳がんでの遺伝性乳がん遺伝子変異は稀と考えられており、ガイドラインに基づく検査の対象となることはほとんどない。Mayo ClinicのBoddickerらは、前向コホート研究や症例コホート研究などから生殖細胞系列がん素因遺伝子の病的変異(PV)について検査を受けた65歳以上の乳がん女性および対照女性(n=26,707)において、PVの頻度および遺伝子ごとのPVと乳がんとの関連を評価し、PVを有する女性での生涯乳がんリスクも推定した。
結論
素因遺伝子のPVは、65歳以上の乳がん女性で3.18%、非乳がん女性では1.48%であった。BRCA1・BRCA2・PALB2でのPVはER陰性女性の3.42%、ER要請では1.0%、トリプルネガティブ乳がんでは3.01%で認められた。第一度近親者に乳がん歴のない女性におけるPV頻度は低かった。CHEK2・PALB2・BRCA2・BRCA1でのPVは乳がんリスクの増加と関連した(オッズ比2.9-4.0)。BRCA1・BRCA2・PALB2でのPVを有する非ヒスパニック系白人女性(他人種はデータ不足)の残りの生涯乳がんリスクは15%以上であった。
評価
高齢乳がんの一般集団を対象とし、PVの頻度と乳がんリスクとの関連を明らかにした。変異頻度が3%を超える集団では、すべての患者で検査を行うことも選択肢となりうる。


