若年の再発・難治CNS患者にHER2特異的CAR T細胞を局所注入する:第1相BrainChild-01試験
Locoregional infusion of HER2-specific CAR T cells in children and young adults with recurrent or refractory CNS tumors: an interim analysis
背景
成人膠芽腫患者に対して、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の局所(切除後腫瘍腔・脳室)投与が有効性を示しているが、小児の中枢神経系(CNS)腫瘍ではどうか。Seattle Children’s Research InstituteのVitanzaらは、中程度長のCARスペーサーを持つHER2特異的CAR T細胞が同所性異種移植髄芽腫モデルにおいてより高い治療効果を持つことを示した後、Seattle Children病院の再発・難治性CNS腫瘍小児・若年成人患者を対象に、HER2特異的CAR T細胞療法の局所反復投与の実施可能性・安全性を評価する第1相試験BrainChild-01を実施、その初期患者について報告した。
結論
CNSカテーテルを通じて腫瘍腔・脳室への投与が行われた。最初の患者3名について、用量制限毒性は認められなかった。また、脳脊髄液中のCXCL10・CCL2濃度の上昇など、局所的なCNS免疫活性化を示す証拠が得られた。
評価
局所注入が血液脳関門を克服し、より高い抗腫瘍効果と少ない副作用をもたらすことが示唆されており(https://doi.org/10.1038/s41591-020-0827-2)、この初期報告では同アプローチが安全であるだけでなく、免疫活性化をもたらすことも示唆された。同施設ではBrainChild-02試験(NCT03638167)、BrainChild-03試験(NCT04185038)も進行中である。


