尿中マイクロRNAで脳腫瘍を検出可能に
Urinary MicroRNA-Based Diagnostic Model for Central Nervous System Tumors Using Nanowire Scaffolds
背景
体液中のmicroRNA(miRNA)を利用したリキッドバイオプシーの開発が進んでおり、がんの検出・診断における有用性で注目を集めている。日本Nagoya University(名古屋大学)のKitanoらは、尿中のmiRNAを効率的に抽出可能なナノワイヤ装置を開発し、中枢神経系腫瘍(CNS)患者のmiRNA発現パターンを明らかにするためCNS患者(n=119)と非がん患者(n=100)の尿中miRNAをマイクロアレイ解析した。
結論
CNS患者で発現する尿中miRNAの起源を明らかにするため、膠芽腫オルガノイドが作製された。膠芽腫オルガノイドに由来するmiRNAの差次的発現(DEM)は、親腫瘍患者の尿中DEMの73.4%を含んでおり、これに対し非がん患者の尿中DEMは3.9%しか含まなかった。CNS患者では、22のmiRNAがアップレギュレーション、35のmiRNAがダウンレギュレーションしていた。このmiRNA発現プロファイルを元にCNS診断モデルが開発された。独立データセットでの検証では、診断モデルの感度は100%、特異度は97%であった。
評価
わずかな尿から効率的にmiRNAを抽出することを可能となり、miRNA発現に基づく診断モデルが、CNS患者と健常人を極めて高い精度で識別できることも示した。早期発見は脳腫瘍予後改善の本丸であり、miRNAアプローチへの期待は大きい。

