卵巣がんマルチモーダル検診は死亡減につながらず:UKCTOCS試験の長期結果
Ovarian cancer population screening and mortality after long-term follow-up in the UK Collaborative Trial of Ovarian Cancer Screening (UKCTOCS): a randomised controlled trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet
年月
May 2021
Online first
開始ページ
Online first

背景

UKCTOCS試験は、イギリスNHSトラスト13施設の50〜74歳の閉経女性(n=202,638)を対象に、血清CA125値の卵巣がんリスク評価アルゴリズムに基づく毎年マルチモーダル検診(MMS群)、経膣超音波による毎年検診(USS群)、検診なしを1:1:2に割り付ける多施設ランダム化比較試験であり、事前指定二次解析においてMMS群の死亡リスク低下を示している。University College LondonのMenonらは、同試験における長期フォローアップ結果を報告した。

結論

中央値16.3年のフォローアップ期間に、MMS群の1.0%、USS群の1.0%、検診なし群の1.0%が卵管・卵巣がんを発症した。検診なし群と比較してMMS群ではステージIでの発症が47.2%増加し、ステージIVでの発症が24.5%減少した。一方で死亡率は、MMS群の0.6%、USS群の0.6%、検診なし群の0.6%であり、有意な死亡減は認められなかった。

評価

PLCO試験(http://doi.org/10.1001/jama.2011.766)以来の大規模試験であり、マルチモーダル検診により発症早期の卵巣がん発見が可能となったが、死亡率減にはつながらなかった。偽陽性の問題もあり、現時点では高リスクでない女性での卵巣がん検診は推奨されないだろう。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)