改変HSV-1による腫瘍溶解性ウイルス療法が高悪性度グリオーマ小児で奏効示す
Oncolytic HSV-1 G207 Immunovirotherapy for Pediatric High-Grade Gliomas

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
April 2021
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開始ページ
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背景

正常細胞では複製されないが腫瘍細胞では腫瘍溶解活性を示すよう改変されたウイルスによる、腫瘍溶解性ウイルス療法の開発が本格化しており、複数の製品が登場している。University of Alabama at BirminghamのFriedmanらは、治療にもかかわらず進行した高悪性度神経膠腫の小児患者(n=12)を対象に、単純性ヘルペスウイルス1型(HSV-1)G207による腫瘍溶解性ウイルス療法を4つの投与コホートで検証する第1相臨床試験を行った。

結論

G207に起因する用量制限毒性や重篤有害事象は確認されなかった。G207に関連すると考えられるグレード1の有害事象は20件発生した。ウイルスの排出は検知されなかった。11名の患者で、放射線学的、神経病理学的、臨床的奏効のいずれかが認められた。全生存期間の中央値は12.2ヵ月であり、11名のうち4名は投与後18ヵ月時点で生存中であった。G207は、腫瘍浸潤リンパ球数を顕著に増加させた。

評価

再発・進行した高悪性度神経膠腫は浸潤リンパ球がほとんどない免疫学的にcoldな腫瘍であり、予後も極めて悪い。改変HSV-1による腫瘍溶解性ウイルス療法は、腫瘍をhotなものに変え、この患者グループでの典型的な生存期間を大きく超える生存を可能にした。第2相以降での検証にも期待できる。

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取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)