高齢早期乳がん患者の化学療法毒性を予測するリスクツールCARG-BCを開発
Development and Validation of a Risk Tool for Predicting Severe Toxicity in Older Adults Receiving Chemotherapy for Early-Stage Breast Cancer
背景
高齢がん患者での化学療法による毒性を予測するリスクツールはいくつか存在するが、乳がん患者に関しては満足できる精度のものはない。University of RochesterのMagnusonらは、術前または術後化学療法による治療を受けた65歳以上のステージI-III乳がん患者におけるグレード3-5の化学療法毒性を予測するモデルを開発、検証した。
結論
開発コホート283名、検証コホート190名のうち46%がグレード3-5の化学療法毒性を発症した。特定された独立予測因子は、アントラサイクリン系薬剤(1ポイント)・ステージII-III(3ポイント)・計画治療期間3ヵ月超(4ポイント)・肝機能異常(3ポイント)・Hb低値(3ポイント)・転倒(4ポイント)・歩行能制限(3ポイント)・社会的支援の欠如(3ポイント)の8つであった。開発コホートにおける毒性率は、合計0-5ポイントの低リスク患者で19%、6-11ポイントの中間リスク患者で54%、12ポイント以上の高リスク患者で87%であった。AUCは開発コホートで0.75、検証コホートでは0.69であった。
評価
Cancer and Aging Research Groupによる化学療法毒性予測ツールは既に存在するが、本研究で開発されたCancer and Aging Research Group-Breast Cancer(CARG-BC)は乳がん治療に特化し、従来のモデルを上回る精度で毒性を予測した。高齢乳がん患者の治療をガイドするリスクツールとして有望である。