HER2陽性乳がんでのトラスツズマブ+カペシタビン+Tucatinib三剤療法、脳転移例でも有効:HER2CLIMB試験
Intracranial Efficacy and Survival With Tucatinib Plus Trastuzumab and Capecitabine for Previously Treated HER2-Positive Breast Cancer With Brain Metastases in the HER2CLIMB Trial
背景
HER2陽性の進行乳がん患者では半数が脳転移の発症に至る。Dana-Farber Cancer InstituteのLinらは、トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン治療歴のあるHER2陽性転移乳がん患者(n=612)を、トラスツズマブ・カペシタビンに加えてtucatinibまたはプラセボに2:1で割り付ける第2相ランダム化比較試験HER2CLIMBの探索的解析を行い、脳転移患者(n=291)における頭蓋内奏効・生存期間を評価した。
結論
頭蓋内進行無き生存期間はtucatinib群で9.9ヵ月、プラセボ群で4.2ヵ月であった(CNS-PFSハザード比0.32)。全生存期間はそれぞれ18.1ヵ月、12.0ヵ月であった(OSハザード比0.58)。頭蓋内客観的奏効率はtucatinib群47.3%、プラセボ群20.0%であった。
評価
HER2陽性乳がん脳転移への活性をRCTで示した初のレジメンとなり、新たな標準治療となることが期待される。全体の結果は先にNEJM誌に発表されている(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1914609)。