HER2低発現の進行乳がんでTrastuzumab Deruxtecanが活性:第I相試験
Antitumor Activity and Safety of Trastuzumab Deruxtecan in Patients With HER2-Low-Expressing Advanced Breast Cancer: Results From a Phase Ib Study
背景
乳がん患者の4割ほどでHER2が低レベルに発現していることが知られるが、これらの患者に対する抗HER2療法は確立されていない。Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのModiらは、HER2低発現で標準治療に抵抗性の進行・転移乳がん患者に対し抗体-薬物複合体trastuzumab deruxtecan(T-DXd、DS-8201a)を投与する第Ib相試験を実施した(n=54)。
結論
患者は中央値7.5の治療歴を有した。客観的奏効率は37.0%、奏効期間は中央値10.4ヵ月であった。98.1%の患者が治療関連有害事象を経験し、63.0%はグレード3以上の治療関連有害事象を経験した。グレード3以上の有害事象として、好中球数減少、血小板数減少、白血球減少、貧血、低カリウム血症、AST上昇、食欲減退、下痢が5%以上発生した。3名が有害事象により死亡した。
評価
日米共同の第1相試験で新規ADC、trastuzumab deruxtecanは重既治療患者で高い活性を示した。第3相試験DESTINY-Breast04が行われている(NCT03734029)。