HER2陽性進行乳がんでのトラスツズマブ、カペシタビンにTucatinibを追加:HER2CLIMB試験
Tucatinib, Trastuzumab, and Capecitabine for HER2-Positive Metastatic Breast Cancer
背景
HER2陽性乳がんには抗HER2抗体による確立された治療戦略があるが、トラスツズマブ二次治療薬後に進行が見られた患者での標準ケアはない。M.D. Anderson Cancer CenterのMurthyらは、トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン治療歴のあるHER2陽性転移乳がん患者を、トラスツズマブ・カペシタビンに加えてHER2標的TKI tucatinibまたはプラセボに2:1で割り付ける第2相ランダム化比較試験HER2CLIMBを実施した(n=612)。
結論
1年無増悪生存率(PFS)はtucatinib群で33.1%、プラセボ群では12.3%であった(ハザード比0.54)。2年全生存率はそれぞれ44.9%、26.6%であった(0.66)。脳転移を有する患者での1年PFSはtucatinib群で24.9%、プラセボ群では0%であった(0.48)。
評価
この試験の結果に基づき、FDAの画期的新薬指定を受けた。複数の抗HER2治療歴を有する患者における新しい標準治療となることが期待される。