がん患者でのインフルエンザワクチンは有効か
Influenza Vaccine Effectiveness Among Patients With Cancer: A Population-Based Study Using Health Administrative and Laboratory Testing Data From Ontario, Canada
背景
がん患者においてもインフルエンザワクチンの接種が推奨されているが、疾患または治療による免疫抑制により免疫が獲得できない可能性が指摘されている。カナダICESのBlanchetteらは、インフルエンザ検査を受けた成人がん患者(n=26,463)での症例対照研究から、がん患者におけるインフルエンザワクチン有効性を評価した。
結論
16%が検査陽性、45%がワクチン接種を受けていた。検査で確認されたインフルエンザへのワクチン有効性は21%、インフルエンザ入院に対する有効性は20%であった。ワクチン有効性はがんのタイプによって異なり、固形がんでは25%であったのに対し、血液悪性腫瘍では8%にとどまった。また化学療法中のワクチン接種は、有効性に差をもたらさなかった。
評価
過去最大規模の調査で、がん患者におけるインフルエンザワクチン接種の有効性を(一般集団のそれよりは低いものの)確認し、現行の推奨に支持を与えた。一方、血液がんではワクチンの有効性が低いことも確認されており、最適化の余地があるかも知れない。

