「生存年数の延長」をベースに肺がん検診を効率化する
Life-Gained-Based Versus Risk-Based Selection of Smokers for Lung Cancer Screening
背景
肺がん検診に関する現在のガイドラインは、年齢と喫煙歴による基づく検診戦略を推奨しているが、個人ごとのリスクに基づきこれを精緻化する試みも現れている。アメリカNational Cancer InstituteのCheungらは、喫煙経験のある40〜84歳のアメリカ人口6000万人を代表するNational Health Interview Surveyの参加者130,964名において、肺がんリスクに基づく検診と生存年数の延長に基づく検診を比較するモデル研究を実施した。
結論
USPSTFガイドラインに合致する喫煙者と同数の、830万人を選択するCT検診の場合、総余命の増分はリスクベースアプローチで607,800年、生存年数ベースアプローチでは633,400年であった。一方、肺がん死亡の予防は、リスクベースアプローチの方が多かった(52,600 vs. 55,000)。生存年数アプローチでのみ検診に選択されるのは156万人の個人で、リスクベース検診に含まれる個人より若く、併存症も少なかった。
評価
現行ガイドラインやリスクベースのアプローチ(http://doi.org/10.7326/M17-1401)では「リスクが高くない」個人においても、検診で大きな生存年延長が見込める場合があり、こうした個人を招待するアプローチは(複雑ではあるが)より効率的な検診システムとなりうる。


