進行固形がん・HER2陽性乳がんでの新たな抗体薬物複合体Trastuzumab duocarmazine:第1相試験
Trastuzumab duocarmazine in locally advanced and metastatic solid tumours and HER2-expressing breast cancer: a phase 1 dose-escalation and dose-expansion study
背景
トラスツズマブと細胞傷害薬を組み合わせた抗体薬物複合体(ADC)が複数登場している。英Institute of Cancer Research and The Royal MarsdenのBanerjiらは、難治性の局所進行・有転移固形がん患者での用量漸増部(n=39)と、HER2陽性の乳がん・胃がん・尿路上皮がん・子宮体がん患者での用量拡大部(n=146)からなる第1相試験を実施し、HER標的化抗体薬物複合体Trastuzumab duocarmazine(SYD985)の安全性・活性を評価した。
結論
用量漸増部の最大用量で、1件の用量制限毒性が発生した。第2相の推奨用量は1.2 mg/kgに決定された。用量拡大部の11%で治療関連重篤有害事象が報告された。一般的な治療関連有害事象として疲労、結膜炎、眼乾燥があった。乳がんコホートでは、HER2陽性乳がん患者の33%で客観的奏効が見られた。低HER2・HR陽性患者の客観的奏効率は28%、低HER2・HR陰性患者では40%であった。胃がん患者の6%、尿路上皮がん患者の25%、子宮体がん患者の39%で部分奏効がみられた。
評価
重既治療の患者において有望な活性を示した。HER2陽性進行乳がんで標準化学療法との比較を行う第3相TULIP試験(NCT03262935)が開始されている。


