がんサバイバーにおける中長期の心血管疾患
Medium and long-term risks of specific cardiovascular diseases in survivors of 20 adult cancers: a population-based cohort study using multiple linked UK electronic health records databases
背景
がん生存率の改善にともない、がんサバイバーでの心血管疾患リスクは重要性を増しているが、広範な癌腫での包括的なエビデンスは乏しい。イギリスLondon School of Hygiene & Tropical MedicineのStrongmanらは、UK Clinical Practice Research Datalinkのデータを用いた集団ベースのコホート研究を行い、診断後1年以上生存したがん(好発20部位)成人患者(n=126,120)の心血管疾患リスクを対照者(n=630,144)と比較した。
結論
20種のがんのうち18種のがんサバイバーで、静脈血栓塞栓のリスクが上昇した(ハザード比1.72-9.72)。リスクは経時的に低下したが、診断5年後も高いままであった。心不全/心筋症のリスクは10種のサバイバーで上昇した。不整脈、心膜炎、冠動脈疾患、脳卒中、弁膜症のリスクも複数の癌腫で上昇した。心不全/心筋症、静脈血栓塞栓のハザード比は、心血管既往のない患者、若年患者で大きかったが、絶対過剰リスクは年齢とともに上昇した。また化学療法を受けた患者で、リスク上昇が顕著であった。
評価
主だった癌種ごとの心血管リスクを包括的に明らかにした。がんの部位によって差はあるものの、多くのがんサバイバーで長期のリスク増加が見られた。予防・モニタリング戦略の策定に向けた重要な情報である。


