家族性リスク女性での乳がん検診、MRIかマンモグラフィか:オランダFaMRIsc試験
MRI versus mammography for breast cancer screening in women with familial risk (FaMRIsc): a multicentre, randomised, controlled trial
背景
乳がん家族歴を有する女性では乳がん発症率が上昇するが、この集団での検診はMRIとマンモグラフィ、いずれが相応しいのか。オランダErasmus University Medical CenterのSaadatmandらは、同国12施設の、生涯乳がんリスク20%以上でBRCA1・BRCA2・TP53遺伝子変異のない30〜55歳の女性を、毎年のMRI・臨床検査と隔年のマンモグラフィ(MRI群)、または毎年のマンモグラフィ・臨床検査(マンモグラフィ群)に割り付けるランダム化比較試験FaMRIscを実施した(n=1,355)。
結論
平均4.3回の検診が実施された。乳がん検出はMRI群40件、マンモグラフィ群15件と、MRI群で増加した。浸潤がんのサイズ中央値はMRI群で小さく(9 mm vs. 17 mm)、リンパ節陽性の割合も低かった(17% vs. 63%)。
評価
家族歴はあるが遺伝的素因のない女性では、MRI乳がん検診により、マンモグラフィと比べて乳がん検出が倍以上に増加した。コストや偽陽性リスクとのトレードオフを議論する上でも重要なデータであるが、乳がん死亡に与える影響を評価するためにはより長期のフォローアップが必要となる。


