DNAメチル化に基づく「生物学的年齢」が乳がんリスクと関連
Methylation-based biological age and breast cancer risk
背景
DNAのメチル化などのエピジェネティックな変化は、老化において重要な役割を持つと考えられており、これらを基にした生物学的「時計」が提案されている。National Institute of Environmental Health SciencesのKresovichらは、Sister Studyに登録された女性の血液DNAメチル化を測定し、既存3種類のメチル化ベース時計(Hannum・Horvath・Levine)と実年齢の差と、乳がんリスクとの関連を検証するケースコホート研究を行った(n=2,764)。
結論
3種の時計に基づく生物学的年齢が実年齢よりも大きい(年齢加速)と、乳がん発症リスクが有意に増加した(Hannum時計の5年の加速ごとにハザード比1.10、Horvath時計1.08、Levine時計1.15)。閉経前女性での年齢加速は、乳がんの独立予測因子であった。乳がん発症女性でのケースオンリー分析では、年齢加速は浸潤性がんと関連した(オッズ比1.09)。
評価
実年齢と生物学的年齢の5年の乖離で、乳がんリスクは15%増加した。エピジェネティクスが個人のがんリスク評価により正確な情報をもたらすことを示した研究で、疾患ごとの「時計」の開発や、こうしたリスクが修飾可能なものであるのかも含め、さらなる拡張研究が期待される。