マイクロサテライト不安定性はどの癌腫でもリンチ症候群と関連する
Microsatellite Instability Is Associated With the Presence of Lynch Syndrome Pan-Cancer
背景
マイクロサテライト不安定性(MSI)検査とミスマッチ修復異常(MMR-D)検査は大腸がんなどでリンチ症候群のスクリーニング検査として行われてきたが、近年では免疫療法の有効性マーカーとして多くの癌腫で実施されている。Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのLathamらは、多様な固形がん患者において、標的化次世代シーケンシングによるMSIステータスとリンチ症候群有病率の関連を評価した(n=15,045)。
結論
高度MSI(MSI-H)腫瘍患者の16.3%、中等度MSI(MSI-I)患者の1.9%、マイクロサテライト安定患者の0.3%でリンチ症候群が同定された。MSI-H/I腫瘍のリンチ症候群患者(66名)のうち、半数は大腸がん・子宮体がん以外のがんであった。その他の癌腫であった33名のうち、45%は既往歴・家族歴に基づくリンチ症候群の遺伝子検査基準を満たしていなかった。リンチ症候群陽性MSI-H/I腫瘍は、1例を除いてMMR-Dであった(98.2%)。
評価
MSI-HおよびMMR-Dが、これまで考えられていたよりも広範囲でリンチ症候群の存在を予測することを示した。MSI-Hの患者では、癌腫や家族歴などにかかわらずリンチ症候群の評価が行われるべきかも知れない。


