BRCA以外のトリプルネガティブ乳がんリスク遺伝子
Triple-Negative Breast Cancer Risk Genes Identified by Multigene Hereditary Cancer Panel Testing
背景
BRCA遺伝子の生殖細胞系列変異は家族性乳がんの原因として知られ、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)で多く見られる。Mayo ClinicのShimelisらは、TNBC患者8,753名での21遺伝子パネル検査とTriple Negative Breast Cancer Consortium参加患者2,148名での17遺伝パネル検査を行い、対照者との比較においてTNBCと関連する素因遺伝子を特定した。
結論
コーカソイドにおいて、BARD1・BRCA1・BRCA2・PALB2・RAD51Dの生殖細胞系列の病的変異はTNBC高リスクと関連し(いずれもオッズ比5.0以上)、生涯乳がんリスクは20%であった。BRIP1・RAD51C・TP53での病的変異は中程度のリスク増と関連した(オッズ比2以上)。アフリカ系アメリカ人でも同様の傾向が見られた。これらの病的変異は参加者の12%でみられ、BRCA変異を有さないものも3.7%あった。
評価
1万人を超えるコホートからTNBCのリスク遺伝子を確立し、このがんの予防戦略に大きな示唆をもたらす。現在TNBC患者ではBRCA検査が考慮されるが、拡張されたパネル検査が有益な可能性がある。


