補完医療を受けるがん患者は通常治療を拒否する傾向、死亡リスクも2倍
Complementary Medicine, Refusal of Conventional Cancer Therapy, and Survival Among Patients With Curable Cancers
背景
補完代替医療(CAM)の市場は大きなものとなっており、通常のがん治療を受ける患者でも補完医療を利用する例は多い。Yale School of MedicineのJohnsonらは、アメリカNational Cancer Databaseでの後向観察研究から、少なくとも1つの従来がん治療を受けた転移を有さない乳がん・前立腺がん・肺がん・大腸がん患者(n=1,901,815)で、補完医療の選択と従来治療の遵守率、がん生存率との関連を調査した。
結論
258名が補完医療を受けており、従来がん治療群の1032名とマッチングされた。補完医療の選択は従来がん治療の開始を遅らせることはなかったものの、外科手術の拒否(7.0% vs. 0.1%)、化学療法の拒否(34.1% vs. 3.2%)、放射線治療の拒否(53.0% vs. 2.3%)、ホルモン療法(33.7% vs. 2.8%)とも補完医療群の患者で多かった。補完医療の利用は、5年生存率の低下と関連し(82.2% vs. 86.6%)、独立した死亡リスクであった(ハザード比2.08)。
評価
同著者らが、通常がん治療ではなく代替医療を選択したがん患者について検討した姉妹論文でも死亡リスクは倍増した(https://doi.org/10.1093/jnci/djx145)。補完医療を利用する患者でのリスク増も従来治療の拒否によってもたらされている可能性が高い。現時点でCAMが標準的がん治療を置き換えうるとする証拠はないことは周知される必要がある。