アメリカHIV感染者の将来がん発症率は減少と予測
Projected Cancer Incidence Rates and Burden of Incident Cancer Cases in HIV-Infected Adults in the United States Through 2030
背景
抗レトロウイルス療法の登場はHIV感染者の予後を劇的に改善し、感染者の高齢化に伴う各種疾患が新たな問題として現れている。アメリカNational Cancer InstituteのShielsらは、HIV陽性成人での2030年までの新規がん罹患を予測した。
結論
アメリカのHIV感染者のうち65歳以上高齢者がしめる割合は、2010年の8.5%から2030年までに21.4%に上昇すると予測された。ほとんどの癌腫で年齢特異的罹患率が低下する一方、前立腺がん罹患率は上昇すると予測された。総がん負荷は2010年の8150件(AIDS指標がん2730件・非AIDS指標がん5420件)から、2030年には6690件(720件・5980件)へと減少すると考えられる。2030年にもっとも一般的な癌腫は前立腺がん・肺がんになると予測された。
評価
HIV感染者の高齢化にもかかわらず全体のがん発生は減少すると予測された。抗レトロウイルス療法の発達にともない非AIDS指標悪性腫瘍は相対的に割合を増すと考えられ、この集団のがん予防・スクリーニング戦略における重要な考慮事項となる。


