β遮断薬プロプラノロールでメラノーマの再発リスクが8割減
Propranolol for Off-label Treatment of Patients With Melanoma: Results From a Cohort Study
背景
プロプラノロールは狭心症・不整脈・片頭痛などの治療に用いられるβ遮断薬であるが、血管新生・細胞遊走の阻害といった機序を介して、黒色腫に有効である可能性が示唆されている。イタリアUniversity of FlorenceのDe Giorgiらは、転移なき皮膚黒色腫患者でのアジュバント治療としてプロプラノロールを服用し(80 mg/d)、無増悪生存期間への効果をはかる単施設前向研究を実施した(n=53)。
結論
プロプラノロール治療を希望した患者群と希望しなかった患者群は、ベースラインでの背景・予後因子について同等であった。追跡期間中央値3年間での病勢進行は、プロプラノロール群15.8%・非プロプラノロール群41.2%であり、プロプラノロール群で再発リスクが大きく低下した(ハザード比0.18)。
評価
近年のがん新薬開発費用の高騰を受けて、ジスルフィラムの抗がん効果を検討した論文がNature誌を飾るなど、ドラッグリポジショニング(既存薬再開発)研究が注目分野となっている。本研究のプロプラノロール群患者では、不良予後因子とされる潰瘍化が多く見られたにもかかわらず、再発リスクは有意に低下した。さらなる検証を正当化する印象的な結果である。


