最近肺塞栓の診断を行った医師は肺塞栓を疑いやすい:利用可能性のバイアス
The Influence of the Availability Heuristic on Physicians in the Emergency Department
背景
人間の判断にはさまざまな認知バイアスが潜り込むリスクがあり、医療者も例外ではない。VA Greater Los Angeles Healthcare SystemのLyは、2011〜18年に息切れを訴えて104の退役軍人病院を受診した患者(n=416,720)の担当救急医(n=7,370)を対象として、ある患者を肺塞栓症(PE)と診断した後の後続患者におけるPE診断検査(D-dimerおよびCT)実施率を調査した。
結論
PE診断検査は平均9.0%で実施された。最近、患者にPE診断を行った医師では、その後の10日間、PE検査の実施率が1.4%上昇した(相対増15%)。その後の50日間ではPE検査実施率に有意な変化は認められなかった。
評価
「直近のPE診断イベントという想起されやすい情報に引きずられて、その後の診断プロセスではPEを疑いやすくなる」という、一種の利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)が存在する可能性を示唆した。


