最近肺塞栓の診断を行った医師は肺塞栓を疑いやすい:利用可能性のバイアス
The Influence of the Availability Heuristic on Physicians in the Emergency Department

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
November 2021
78
開始ページ
650

背景

人間の判断にはさまざまな認知バイアスが潜り込むリスクがあり、医療者も例外ではない。VA Greater Los Angeles Healthcare SystemのLyは、2011〜18年に息切れを訴えて104の退役軍人病院を受診した患者(n=416,720)の担当救急医(n=7,370)を対象として、ある患者を肺塞栓症(PE)と診断した後の後続患者におけるPE診断検査(D-dimerおよびCT)実施率を調査した。

結論

PE診断検査は平均9.0%で実施された。最近、患者にPE診断を行った医師では、その後の10日間、PE検査の実施率が1.4%上昇した(相対増15%)。その後の50日間ではPE検査実施率に有意な変化は認められなかった。

評価

「直近のPE診断イベントという想起されやすい情報に引きずられて、その後の診断プロセスではPEを疑いやすくなる」という、一種の利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)が存在する可能性を示唆した。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)