肥満は人工呼吸器関連肺炎(VAP)リスクを増加させない:NUTRIREA2試験の事後解析
Relationship Between Obesity and Ventilator-Associated Pneumonia: A Post Hoc Analysis of the NUTRIREA2 Trial
背景
肥満は市中感染や院内感染リスクと考えられているが、人工呼吸器関連肺炎(VAP)との関連は。フランスCHU LilleのNseirらは、同国44のICUの人工呼吸とショックに対する昇圧剤サポートを必要とする患者を対象として、静脈栄養と経腸栄養を割り付けたランダム化比較試験NUTRIREA-2での事後解析を行い、肥満(ICU入室時に BMIが30以上)とVAP発生率の関連を検討した(n=2,325)。
結論
699名(30%)で肥満が認められ、224件の初回VAPエピソードが診断された(うち肥満患者では60件)。28日VAP発生率は、肥満患者群8.6%、非肥満患者群10.1%であり、差はなかった(ハザード比0.85)。各種因子について調整しても、肥満とVAP発生率の関連は有意ではなかった(0.893)。人工呼吸期間、ICU滞在期間に有意差はなかったが、90日死亡率は肥満患者の方が低かった(39.3% vs. 44.7%)。
評価
肥満が、ICU人工呼吸患者でのVAPリスク因子ではないことを明らかにした。また、この試験集団でも肥満患者の方が予後が良い所謂「肥満のパラドックス」が認められた。