COVID-19に対する腹臥位療法の生存利益を多施設コホート研究で確認
Prone Positioning and Survival in Mechanically Ventilated Patients With Coronavirus Disease 2019-Related Respiratory Failure
背景
腹臥位療法は急性呼吸窮迫症候群（ARDS）の生存率を改善することが示されていることから、新型コロナウイルス感染症COVID-19の重症患者に対しても推奨されている。Icahn School of Medicine at Mount SinaiのMathewsらは、アメリカ68施設に入院したCOVID-19成人重症患者を対象とした多施設コホート研究Study of the Treatment and Outcomes in Critically Ill Patients With COVID-19のデータを用い、P/F比が200 mm Hg以下で侵襲的人工呼吸を受けた患者におけるICU入室2日以内の腹臥位療法と死亡リスクの関連を調査した（n=2,338）。
結論
702名（30.0%）が2日以内に腹臥位療法を受けた。逆確率重み付けを行い、背景因子と重症度を調整した。43.5%が生存退院し、47.1%が死亡し、9.4%が最終フォローアップ時点で入院中であった。腹臥位療法を受けた患者では、受けていない患者と比較して、死亡リスクが低かった（ハザード比0.84）。
評価
PROSEVA試験ほどはっきりとした差ではなかったものの、COVID-19重症患者においても腹臥位の生存ベネフィットを確認した。感染対策を含め安全に実施可能な場合には、腹臥位による管理を行うべきと思われる。
