ACS疑いでの高感度トロポニン、0/1時間プロトコルの安全性に疑問符:RAPID-TnT試験の長期結果
Late Outcomes of the RAPID-TnT Randomized Controlled Trial: 0/1-Hour High-Sensitivity Troponin T Protocol in Suspected ACS
背景
RAPID-TnT試験は、救急の急性冠症候群疑い患者(n=3,378)において、0/1時間高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)プロトコル(5 ng/L未満)の、0/3時間プロトコル(29 ng/L未満)に対する非劣性性を検証する多施設ランダム化比較試験であり、30日以内の死亡・心筋梗塞イベント発生率について非劣性を示した。オーストラリアFlinders University of South AustraliaのLambrakisらは、同試験の12ヵ月アウトカムを報告した。
結論
患者の91.5%は初回トロポニン濃度が29 ng/L以下であった。12ヵ月のフォローアップにおいて、死亡・心筋梗塞イベント発生率に有意な差は見られなかったが、初回トロポニン濃度が29 ng/L以下のサブセットでは、介入群の3.7%、標準治療群の2.3%でイベントが発生した。
評価
短期的には0/1時間プロトコルの非劣性を示したRCTであったが、長期的には、特に初期トロポニン値が高くない患者サブセットで、0/1時間プロトコルによりアウトカムが悪化する可能性が示唆された。トロポニン検査プロトコルの変更が下流の検査・治療に与える影響は、慎重に検証される必要がある。