呼吸器感染症小児に対する抗菌薬の延期処方は安全:RCT
Delayed Antibiotic Prescription for Children With Respiratory Infections: A Randomized Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Pediatrics
年月
March 2021
147
開始ページ
e20201323

背景

呼吸器感染症患者に対する抗菌薬使用の適正化が叫ばれて久しいが、小児の呼吸器感染症で抗菌薬処方を延期することは安全か。スペインBiomedical Research Institute Sant PauのMas-Dalmauらは、プライマリケアを受診した合併症のない急性呼吸器感染症小児を、抗菌薬の延期処方、抗菌薬の即時処方、抗菌薬処方なしの3群に割り付け、処方戦略ごとの有効性・安全性を評価するランダム化比較試験を実施した(n=436)。

結論

抗菌薬使用率は、即時処方群96%、延期処方群25.3%、処方なし群12.0%であった。重症症状の期間は即時処方群で平均10.1日、延期処方群で12.4日、処方なし群で10.9日と、統計的有意な差はなかった。最大重症度の中央値も3群で同等であった。合併症、再受診、満足度は各群同等であったが、消化器系副作用は即時処方群で多かった。

評価

2017年のコクランレビューは、成人・小児患者において処方戦略により臨床アウトカムに差がないとしたが(https://doi.org/10.1002/14651858.CD004417.pub5)、本RCTはこのテーマについて行われた最大規模の試験で、抗菌薬処方の延期が安全であることを確認した。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)