集中治療領域での新しい5つのChoosing Wisely
Choosing Wisely For Critical Care: The Next Five
背景
2010年に開始されたChoosing Wiselyキャンペーンは、患者に利益をもたらさないにもかかわらず過剰に利用されている介入(過剰な画像検査や抗菌薬使用など)を削減し、エビデンスに基づく治療を推進するためのイニシアチブである。集中治療領域でも2014年に、リベラル輸血や深鎮静を行わないよう求める5項目のChoosing Wiselyが策定された。University of WashingtonのZimmermanらは、集中治療領域における新たなChoosing Wiselyを策定するため半構造化されたナラティブ文献レビューと定量的サーベイの評価を行い、タスクフォースの議論と修正Delphiプロセスによる合意形成により8つの推奨事項まで絞り込んだ上で、SCCM会員による評価・ランキングを行った。
結論
文献レビューにより提示された13項目から、タスクフォースの議論を通じ、以下8項目のDo Notがコンセンサスとして選ばれた。1) 文書化された患者・家族のゴール・価値観に沿わないケアの提供をしない。2) 培養結果や症状に準じない長期の広域抗菌薬投与をしない。3) 明確な適応なしにカテーテルやドレーンの留置をしない。4) ICU患者のリハビリを遅らせない。5) 必要なく人工呼吸器のウィーニングを遅らせない。6) 初期蘇生期間の正の輸液バランスを許容しない。7) 夜間に行う必要のないルーチンケアにより夜間睡眠を阻害しない。8) 低リスク患者でストレス潰瘍予防を開始しない。このうち、最初の5つが新たなChoosing Wiselyとして選ばれた。
評価
新たなChoosing Wiselyの策定プロセスと推奨の根拠を提示するレポートである。集中治療領域におけるEBMイニシアチブとして重要であるが、Choosing Wiselyが単体では臨床実践に十分な変化をもたらさないという批判もあり(https://doi.org/10.1017/cem.2017.402)、この提言を具体化するための方策も求められている。