急性冠症候群疑い患者での高流量酸素は利益なし
High flow oxygen and risk of mortality in patients with a suspected acute coronary syndrome: pragmatic, cluster randomised, crossover trial
背景
急性冠症候群(ACS)患者に対する酸素療法の意義は、近年の重要な論争点となっている。ニュージーランドAuckland City HospitalのStewartらは、同国の4地域を6ヵ月ごとに、ACS疑診・確診患者に対して毎分6-8 Lの酸素を投与する高量酸素プロトコル、またはSpO2が90%未満の場合のみ95%未満を目標に酸素投与を行う低量酸素プロトコルに割り付けるクラスターランダム化クロスオーバー試験を実施した。
結論
ACS疑診患者(n=40,872)の30日死亡率は、高量酸素群で3.0%、低量酸素群3.1%であった(オッズ比0.97)。STEMI患者(n=4,159)での30日死亡率はそれぞれ8.8%、10.6%(オッズ比0.81)、NSTEMI患者(n=10,218)では3.6%、3.5%であった(1.05)。
評価
大規模なcRCTによりACS疑い例での高流量酸素の意義を検証したが、低酸素プロトコルとの差は示されなかった。DETO2X-AMI試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1706222)ともあわせて、低酸素のない患者でのルーチンな酸素投与は不要と考えられる。