ICUでのアルコール離脱症候群をバクロフェンで予防できるか：BACLOREA試験
Effect of High-Dose Baclofen on Agitation-Related Events Among Patients With Unhealthy Alcohol Use Receiving Mechanical Ventilation: A Randomized Clinical Trial
背景
GABA作動薬であるバクロフェンは従来用いられてきた痙縮だけでなく、アルコール依存症にも有用性が示唆されているが、ICU患者でしばしば発生するアルコール離脱症を抑制できるか。フランスCentre Hospitalo-Universitaire de NantesのVourc’hらは、同国18施設のICUで第3相ランダム化比較試験BACLOREAを実施し、異常なアルコール使用のあった人工呼吸患者でバクロフェンとプラセボを比較した（n=314）。
結論
1度以上の不穏・興奮イベントを経験した患者の割合はバクロフェン群で19.7%、プラセボ群で29.7%であった（調整オッズ比0.59）。18の事前指定二次エンドポイントのうち、14に有意な差はなかった。人工呼吸期間はバクロフェン群で中央値9日、プラセボ群で8日、ICU滞在日数はそれぞれ14日、11日といずれもバクロフェン群で延長した。28日死亡率に有意な差はなかった（25.3% vs. 21.6%）。鎮静終了後の覚醒遅延（72時間以上）は、バクロフェン群の8.9%、プラセボ群1.9%でみられた。
評価
バクロフェンにより不穏・興奮イベントは期待通り減少したが、いくつかの二次アウトカムに悪化傾向が見られた。有効集団の絞り込みも含めて、さらなる検証が必要であろう。
