急性心筋梗塞後の輸血トリガー値は7 g/dLでよいか：REALITY試験
Effect of a Restrictive vs Liberal Blood Transfusion Strategy on Major Cardiovascular Events Among Patients With Acute Myocardial Infarction and Anemia: The REALITY Randomized Clinical Trial
背景
赤血球輸血を行うヘモグロビンレベルについては、近年、10 g/dLを下回る制限的戦略でリベラル戦略と同等、ないしリベラル輸血を上回る予後が達成できることが報告されている。フランスUniversite de ParisのDucrocqらは、フランス・スペインの35施設で、ヘモグロビン値が7-10 g/dLの心筋梗塞患者を、制限輸血（輸血トリガー値8 g/dL以下）またはリベラル輸血（10 g/dL以下）に割り付け、制限輸血の非劣性を検証するランダム化比較試験REALITYを実施した（n=668）。
結論
制限輸血群の35.7%、リベラル輸血群の99.7％が輸血を受けた。30日以内のMACE（全原因死亡・脳卒中・心筋梗塞再発・緊急的血行再建術）率は、制限輸血群11.0%、リベラル輸血群14.0%であった（相対リスク0.79）。全原因死亡はそれぞれ5.6%、7.7%、心筋梗塞再発は2.1%、3.1%、虚血による緊急的血行再建は1.5%、1.9%、致死的でない脳梗塞は両群0.6%で発生した。
評価
敗血症性ショック患者、心臓術後患者、上部消化管出血患者などで制限輸血が支持されてきており、本試験によりAMIもこれに加わった。
