急性冠症候群患者でのルーチンなGRACEスコア使用はケアを改善するか:AGRIS試験
Objective Risk Assessment vs Standard Care for Acute Coronary Syndromes: A Randomized Clinical Trial
背景
Global Registries of Acute Coronary Events(GRACE)リスクスコアは急性冠症候群(ACS)の包括的リスク評価に有効であり、国際的なガイドラインはACSケアのガイドとして使用することを推奨している。オーストラリアFlinders University of South AustraliaのChewらは、ACS急性期ケアレジストリ24施設のACS入院患者において、ルーチンなGRACEスコア評価とガイドライン推奨治療の効果を検証する病院レベルでのクラスターランダム化比較試験を実施した。
結論
2,318名が登録された時点で、無益性により試験は早期中止された。高リスク患者(62.9%)に対する早期侵襲的治療、ガイドライン推奨薬物療法4/5の処方、心臓リハビリテーションすべての実施率は、介入群59.9%、対照群55.2%で差はなかった(オッズ比1.04)。3指標のうち、早期侵襲的治療の実施は介入群で増加した(91.8% vs. 83.6%)。12ヵ月時点での死亡・心筋梗塞は、介入群9.2%、対照群13.4%で有意な差はなかった(オッズ比0.66)。
評価
ベースとなるガイドライン推奨実施率が予想よりも高かったためか、GRACEスコア介入の実施はケアの質を大きく改善することはなかった。