敗血症性心筋症ショックにVA-ECMOを用いるべきか:多国籍後向コホートでの検証
Venoarterial extracorporeal membrane oxygenation to rescue sepsis-induced cardiogenic shock: a retrospective, multicentre, international cohort study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Lancet
年月
August 2020
396
開始ページ
545

背景

成人の敗血症性心筋症によるショックに対してVA-ECMO(体外式膜型人工肺)を用いるべきかどうかには議論がある。フランスGroupe Hospitalier Pitie-SalpetriereのBrechotらは、教育施設ECMOセンター5施設でVA-ECMOを受けた敗血症性ショック患者82名のアウトカムを、敗血症性ショック・データベースのECMOを受けていない対照患者130名と比較した。

結論

VA-ECMOを受けた患者は、心筋機能障害、血行動態不全、臓器不全が重度であった。VA-ECMO治療患者の90日生存率は60%で、対照群の25%よりも有意に高かった。傾向スコアによる重み付け後にもこの関連は維持された(51% vs. 14%、修正リスク比0.57)。乳酸クリアランス、カテコラミンクリアランスもECMO患者で改善した。1年後の健康関連QOLを報告した生存患者32名では、QOLは良好であった。

評価

新生児・小児と比して、成人敗血症でのVA-ECMOについては見解の一致がなかったが、この多国籍コホートでの検証では、VA-ECMOによる生存率の改善が示唆された。ここでの生存率は本邦での報告(https://doi.org/10.1002/jja2.12236)よりもかなり高く、患者選択が重要とみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)