雷雨の前日は呼吸器疾患による高齢者の救急受診が増える:雷雨ぜんそく
Emergency Visits for Thunderstorm-Related Respiratory Illnesses Among Older Adults
背景
雷雨の日にぜんそくによる受診患者が増加する「雷雨喘息」現象は、1980年代から報告されている。University of OregonのZouらは、1999年から2012年にかけてのUS National Oceanic and Atmospheric AdministrationとメディケアMedicare fee-for-serviceのデータを用い、落雷・雷雨と急性呼吸器疾患による高齢者の救急受診との関連を調査した。
結論
46,581,214名のうち、10.5%がぜんそく、6.6%がCOPDの診断を有した。14年の期間中、822,095回の大規模な雷雨があった。雷雨の前日、救急受診は100万人あたり1.8件増加、特にぜんそく患者では6.3件、COPD患者では6.4件、ぜんそくかつCOPD患者では9.4件の増加があった。14年間で52,000件の呼吸器関連救急受診を引き起こしたと推定された。
評価
2016年にオーストラリア・メルボルンで大規模なエピデミックを引き起こしたこの雷雨ぜんそく現象について、これまで雷雨の後の医療受診が注目されてきたが、本研究は救急受診が雷雨前日にピークを示すことを明らかにした。空気中の微粒子や気温の変化が機序として考えられる。温暖化に伴い先進国の雷雨は増加すると予測されており、この問題の重要性も増していくものと思われる。