COVID-19重症患者での回復期血漿療法、中国RCTは有意差示せず
Effect of Convalescent Plasma Therapy on Time to Clinical Improvement in Patients With Severe and Life-threatening COVID-19: A Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
August 2020
324
開始ページ
460

背景

COVID-19では、抗SARS-CoV-2抗体が含まれる回復患者の血漿を投与する回復期血漿療法が有望とみられている。中国Peking Union Medical CollegeのLiらは、2020年2月14日から2020年4月1日、武漢市7施設の重症または最重症COVID-19患者を、標準治療または標準治療+回復期血漿療法に割り付けるランダム化比較試験を実施した。

結論

武漢市での感染終息により新規患者の登録が不可能となったため、予定の200名に満たず試験は早期終了した(n=103)。28日以内の臨床的改善率は、回復期血漿群51.9%、対照群43.1%で有意差はなかった(ハザード比1.40)。重症患者の臨床的改善は、それぞれ91.3%、68.2%であった(2.15)。28日死亡率は回復期血漿群15.7%、対照群24.0%、28日退院率はそれぞれ51.0%、36.0%であり、いずれも有意差はなかった。72時間以内のPCR陰性転換率は回復期血漿群87.2%、対照群37.5%であった。回復期血漿群の2名で投与後有害事象がみられたが、支持療法により改善した。

評価

いずれのアウトカムも回復期血漿療法による改善を示唆したものの、予定の半数しか登録できなかった影響か、有意な効果を示すには至らなかった。とくに最重症(挿管、ショック、臓器不全)でない患者ではベネフィットが強く示唆されており、さらなる調査に期待が持たれる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)