AEDを受けた院外心停止患者、AEDで心拍再開せずとも生存率上昇
Public-access defibrillation and neurological outcomes in patients with out-of-hospital cardiac arrest in Japan: a population-based cohort study
背景
公共空間へのAED設置が進んでいるが、市民救助者によるAED除細動を受けた心停止患者の多くでは自己心拍の再開がみられない。日本National Cerebral and Cardiovascular Centre(国立循環器病研究センター)のNakashimaらは、All-Japan Utstein Registryから、バイスタンダーによる心肺蘇生を受け、初期リズムがショック適応の目撃あり院外心停止患者を対象とした後向解析を行い、AEDの使用と神経学的アウトカムとの関連を検討した(n=28,019)。
結論
心肺蘇生とAEDを受けたが、EMS到着までに心拍再開しなかった患者が8.0%、心肺蘇生のみを受けやはり心拍再開しなかった患者が89.5%であった。神経学的良好アウトカム(CPCが1または2)の割合は、AEDを受けたが心拍再開しなかった患者では37.7%、AEDを受けず心拍再開しなかった患者では22.6%であった(調整オッズ比1.45)。30日生存率はそれぞれ44.0%、31.8%であった(1.31)。
評価
AEDを受けていても、救急隊の到着前に自己心拍再開に至る患者は2割に満たないとされるが、たとえただちに心拍再開しなくともAED実施患者では生存率が向上することを示した。AED普及・教育に向けた心強いデータである。


