重症患者でのステロイドは消化管出血を僅かに増加させる:メタ解析
The effect of systemic corticosteroids on the incidence of gastrointestinal bleeding in critically ill adults: a systematic review with meta-analysis

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Intensive Care Medicine
年月
September 2019
45
開始ページ
1540

背景

ステロイドは重症患者の治療で広く用いられるが、消化管出血を増加させる可能性が指摘されている。オーストラリアRoyal North Shore HospitalのButlerらは、システマティックレビュー・メタアナリシスにより、成人重症患者で24時間以上の全身コルチコステロイドをプラセボ・無治療と比較したランダム化比較試験を特定、消化管出血への影響を評価した。

結論

臨床的に重要な消化管出血の発生率は、25試験(n=14,615)が報告した。プールされた発生率はステロイド群2.3%、対照群1.8%と、ステロイド群で上昇した(相対リスク1.26)。重症度を問わない消化管出血の発生率は、55試験(n=21,792)が報告し、リスク差はなかった(相対リスク1.10)。GRADEによるエビデンスの質は「低」であった。

評価

ステロイドが重症患者の消化管出血を増加させることを確認したが、消化管出血自体が稀であり、予防戦略が有益であるかは不明である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)