自宅での心停止をスマホ・スマートスピーカーで発見する
Contactless cardiac arrest detection using smart devices
背景
広範な心肺蘇生教育や公共空間へのAED設置により心停止の救命率は向上しているが、院外心停止例の大半を占める住居空間での心停止は今なお救命が困難である。University of WashingtonのChanらは、162件の現実の911音声(19時間)および睡眠ポリグラフの音声データを利用してサポートベクターマシンを訓練し、心停止患者に生じる死戦期呼吸の分類器を作成した。
結論
分類器のパフォーマンスは、曲線下面積0.9993、感度97.24%、特異度99.51%であった。いびき・低呼吸・中枢性/閉塞性睡眠時無呼吸を含む睡眠音声データ(82時間分)での偽陽性率は0-0.14%、寝室環境(164時間分)での偽陽性率は0-0.22%であった。死戦期呼吸の音声クリップを用いたAmazon EchoおよびiPhoneでのベンチマークでも高い精度が示された。
評価
自宅での心停止の多くは目撃なし例であり、救命が困難である。死戦期呼吸は心停止の半分でみられ、スマートデバイスによりこれを発見できれば救命率の向上が期待できる。インパクトの大きい概念実証研究である。