胸骨圧迫のみの心肺蘇生、心肺蘇生実施率・生存率に寄与:スウェーデン
Survival in Out-of-Hospital Cardiac Arrest After Standard Cardiopulmonary Resuscitation or Chest Compressions Only Before Arrival of Emergency Medical Services: Nationwide Study During Three Guideline Periods
背景
近年の心肺蘇生(CPR)ガイドラインは、訓練を受けていない市民救助者(バイスタンダー)では胸骨圧迫のみのCPRを推奨している。スウェーデンKarolinska InstitutetのRivaらは、同国レジストリに報告された2000〜2017年の目撃あり院外心停止全例において、ガイドラインの時期ごとのバイスタンダーCPRのタイプと実施率、心停止生存率を検討した(n=30,445)。
結論
CPR実施率は、2000〜2005年では40.8%、2006〜2010年は58.8%、2011〜2017年には68.2%であった。従来CPR率は、各期間でそれぞれ35.4%・44.8%・38.1%であり、一方で胸骨圧迫のみCPR率は、5.4%・14.0%・30.1%と上昇した。各期間の30日生存率は、CPR無し患者では3.9%・6.0%・7.1%、従来CPR患者では9.4%・12.5%・16.2%(全期間でオッズ比2.0)、胸骨圧迫のみCPR患者では8.0%・11.5%・14.3%(1.2)であった。
評価
胸骨圧迫のみCPRの推奨はバイスタンダーによるCPR実施を増加させ、心停止生存率の向上に寄与している(https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.114.014905)。人工呼吸の実施が利益を有するかについてはさらに検証を要する。