失神患者の肺塞栓有病率、再検:多施設前向コホートでの検証
Prevalence of Pulmonary Embolism Among Emergency Department Patients With Syncope: A Multicenter Prospective Cohort Study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
January 2019
Online first
開始ページ
Online first

背景

肺塞栓症(PE)を原因とする失神はまれなものと考えられてきたが、PESIT研究は失神による入院患者の6人に一人でPEが見られると報告した。カナダUniversity of OttawaのThiruganasambandamoorthyらは、カナダ・アメリカの17救急部門が参加する2件の前向研究から、失神救急受診患者におけるPE有病率を検証した(n=9,374)。

結論

97.0%が解析に含まれた。9.6%が30日以内の重大アウトカムを有したが、多くは不整脈・心筋梗塞などで、PEは0.6%であった。死亡は全体で0.9%(86名)で、PE関連の死亡は0.04%(4名)のみであった。

評価

PESIT研究の桁外れな有病率は大きな驚きをもたらしたが、昨年発表された5カ国のデータベースに基づく後向検証ではPE有病率は極めて低く(http://doi.org/10.1001/jamainternmed.2017.8175)、この前向検証でも同様の結果となった。ルーチン的なPE評価は不要と思われる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)