失神患者の肺塞栓有病率、再検:多施設前向コホートでの検証
Prevalence of Pulmonary Embolism Among Emergency Department Patients With Syncope: A Multicenter Prospective Cohort Study
背景
肺塞栓症(PE)を原因とする失神はまれなものと考えられてきたが、PESIT研究は失神による入院患者の6人に一人でPEが見られると報告した。カナダUniversity of OttawaのThiruganasambandamoorthyらは、カナダ・アメリカの17救急部門が参加する2件の前向研究から、失神救急受診患者におけるPE有病率を検証した(n=9,374)。
結論
97.0%が解析に含まれた。9.6%が30日以内の重大アウトカムを有したが、多くは不整脈・心筋梗塞などで、PEは0.6%であった。死亡は全体で0.9%(86名)で、PE関連の死亡は0.04%(4名)のみであった。
評価
PESIT研究の桁外れな有病率は大きな驚きをもたらしたが、昨年発表された5カ国のデータベースに基づく後向検証ではPE有病率は極めて低く(http://doi.org/10.1001/jamainternmed.2017.8175)、この前向検証でも同様の結果となった。ルーチン的なPE評価は不要と思われる。