皮膚・軟部組織膿瘍への抗菌薬追加:系統的レビューとメタ解析
Systemic Antibiotics for the Treatment of Skin and Soft Tissue Abscesses: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
皮膚・軟部組織膿瘍での標準的管理は切開とドレナージであるが、抗菌薬全身投与の追加に意義はあるのか。Rush University Medical CenterのGottliebらは、プラセボ対照ランダム化比較試験を対象とするシステマティックレビュー・メタアナリシスにより、抗菌薬の追加のベネフィットを評価した。
結論
4件の研究が同定された(n=2,406)。治療失敗は抗菌薬群7.7%・プラセボ群16.1%であった(累積リスク差7.4%、臨床的治癒のオッズ比2.32)。また抗菌薬群では新規病変の発生も減少し(リスク差−10.0%、オッズ比0.32)、一方で軽度有害事象リスクもわずかに増加した(4.4%)。
評価
アメリカではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による膿瘍が増加しており、アメリカで行われたRCT 4件を含むこのメタ解析では抗菌薬投与の有効性が確認された。日本でもMRSA皮膚・軟部組織感染症の報告は上がっているが、限定的である。


