重症患者での輸液は生理食塩水よりも調整晶質液:SMART試験
Balanced Crystalloids versus Saline in Critically Ill Adults
背景
重症患者の輸液では生理食塩水よりも調整晶質液が好ましいと考えられるが、エビデンスの支持は堅固ではない。Vanderbilt UniversityのSemlerらは、5つの学術センターICUの成人患者に、生理食塩水または調整晶質液(乳酸加リンゲル液かPlasmaLyte A)をランダムで割り付けるクラスターランダム化試験SMART-MED・SMART-SURGを実施した(n=15,802)。
結論
30日以内の重大腎有害イベントは調整晶質液群14.3%・生食群15.4%と、調整晶質液群で有意に少なかった(限界オッズ比0.91)。30日院内死亡率は調整晶質液群10.3%・生食群11.1%、新規腎代替療法は2.5%・2.9%、持続的腎障害は6.4%・6.6%でいずれも有意差はなかった。
評価
SPLIT試験では有意な差は示されなかったが(http://doi.org/10.1001/jama.2015.12334)、この試験では僅かながら複合アウトカムを減少させた。同施設の救急患者で行われたSALT-ED試験も発表されており、一次アウトカムの入院不要日数には差がなかったものの、調整晶質液群で重大腎有害イベントが減少した(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1711586)。