敗血症性ショックでのステロイド、APROCCHSS試験では死亡率低下
Hydrocortisone plus Fludrocortisone for Adults with Septic Shock
背景
重症感染症の管理におけるステロイドの意義は長らく論争的なものであり続けており、最近もADRENAL試験がネガティブ結果を報告している。フランスHopital Raymond PoincareのAnnaneら(APROCCHSS)は、敗血症性ショック患者において、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンとドロトレコギンα(活性型)およびこれらの組み合わせをプラセボと比較する2×2要因デザインによる多施設RCTを実施し、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン療法での結果を発表した(n=1,241)。
結論
90日死亡率は、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群43.0%・プラセボ群49.1%であった(相対リスク0.78)。ステロイド群の死亡率は、28日時点を除き、ICU退室時・退院時・180日時点でも有意に低かった。28日までの昇圧剤不要日数および無臓器不全日数はステロイド群で多かった。重篤有害事象には両群で有意差はみられなかったが、ステロイド群では高血糖が多かった。
評価
併載のADRENAL試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1705835)とは対照的に、ステロイド投与群で有意な死亡率低下が見られた。両試験は組み入れ基準が異なり、より死亡率の高いAPROCCHSS試験での有効結果は、ステロイドの効果が患者重症度に依存する可能性を示唆する。治療抵抗性の患者でステロイドを考慮することは合理的であろう。